アバース

所用のため池袋へ。午前中で用事が済んだのでお昼は硯家でぶっかけうどん。その後ふらふらと街をさまよい、父の日用に酒を買って帰宅。自宅最寄りの駅まで母親が車で迎えにきてくれたのだが、車の中を見ると甥っ子も乗車している。よしよし、キミはいいこだねぇ、などとデレデレとした笑顔を見せて可愛がっていたら、その甥っ子が唐突に「アバーッ、アバーッ」と言うではないか。
これまた同乗していた甥っ子のママ、つまり義理の姉に「アバーッだって」と、あんまり意味のない言葉をかけて途中で気がついた。どうも駅前に停車中のバスを見て、実際には「アバー」と言っているようだったのだ。すごいね、めちゃくちゃ正確じゃん。「A bas」って言ってる訳でしょ? 定冠詞じゃなくて不定冠詞じゃん。日本人の多くが使い方に困難さを感じている冠詞を正確に使いこなしてるじゃん。なんで冠詞付きで言ってんのか全然分かんない。どこで覚えたんだろ、すごいよすごいよ、と言い募っていたら義理の姉から予想外の返答が。
「バスを見かけると私が『あ、バスだよ』と言ってるせいで、バスじゃなくてアバスと覚えちゃったみたい」
へぇ〜。「ア」は冠詞の「A」じゃなくて日本語の「あ」だったのか。面白いな。面白くないですか? 面白くないか。でもいい。私は面白かったもの、それで十分よ! 万民にとっての面白さだなんて、そんな大それた事を望んだりしないわ! だって私は足るを知る人間ですもの。…意味分かんないな、我ながら。つまり今日は外出した割に特に何もしていないので日記に書く事がない、ということだ。やったことは、電車の中であの重荷の仮綴じ判を読んだくらいだ。300頁強あるうち、140頁くらい読み終わったがちっとも面白くならない。苦痛だ。誰か代わりに読んでくれないかなぁ。無理か。