髪を切りにいったら

昨日、国分寺の駅で美容師キャッチにあい、それで思い立って髪を切りにいった。というのは全部嘘。もともと昨日の昼のうちにカットの予約はしてあった。お店に入ると女性と男性の美容師さんが各1名ずつおり、男性の方が店長だったらしい。しばしまっている間に見たところ、この店長は感じの良い好青年であるのだけれどカット中の会話が多く、美容師との会話を不得手とする私としては、彼に担当されたらと思うだけれでやや重荷である。美容師さんってよく話しかけてくるけど、たまには察してくれないかね。こちらが話したくないと思っていることを。だってさー、客の年代を見てその世代の標準的な人々に合いそうな話題を降ってこられるんだけれど、そういう話題には私の方が合わないんだよ。どんな映画見るんですか、とか聞かれて正直に「キン・ザ・ザとかシュヴァンクマイエルとか、アルゴ探検隊の大冒険とか好きですね」と答えたとしても相手を困らせるだけだし(というか困らせた事があるし)、敵(=美容師)が絶賛するような一般性のある映画に「あれいいですよね〜」と常識人を装って合わせるのも結構苦痛だ。美容師との会話が苦痛なために髪を切りにいくのを先延ばしにしがちであると言っても過言ではない。本当はただ面倒なだけだけど。髪型というものにまるでこだわりがない私は大学生の時分に美容師に向かって「もう、よく分かんないんで適当にやっちゃってください」と女子とは思えぬ投げやり発言をして相手に苦笑されたことがある。あんまり興味ないからな〜、自分の外見に。洋服は自分で直接見る事ができるからそれなりに好みがあるけれど、顔や髪型は直接は見られないじゃん。だから未だにほぼノーメイク。悪いかよ。誰にも悪いとは言われてないが。
今日会った美容師の話にもどる。仕事っぷりを観察していると、女性の美容師の方はかなり寡黙である。いいぞ、それでいいんだ…! と思いながら彼女に当たりますようにと念じていると、果たして私の髪を担当したのは彼女であった。予想通りあんまり話しかけてこない。しかしそれでも形式的に2〜3話しかけられ、しかも誰とでも気楽に話すのが苦手であるという点が共通したせいか、妙に話が盛り上がる。今日はこれからどこかに出かけるんですか、と言われて、いや〜、部屋散らかってるんで掃除ですね、などと部屋のちらかりっぷりについて話をし、聞けば美容師さんも片付けが苦手なタイプらしい。おかげで店を出る時は「お掃除頑張ってくださいね!」と応援されてしまった。
無理に話をしないと言う点だけでも良かったのだが、非常に丁寧に切ってくれたので出来上がりにも割と満足。しばらくここに通ってもいいかなぁ、と思ったが、来月中には私は引っ越してしまうのであった。残念。帰宅してから母にどこで切ったのか聞かれたので説明すると、「アラそこはうちの近所の○○さん(←近所の美容室の名前)の息子さんの店よ。お兄ちゃんも○○さん(←兄嫁の名前)もそこで切ってるのよ」と。ヤだな、この情報収集力。夕方兄夫婦が遊びにきたときにもこの話になり、母が兄に我々の通っている美容室の素性を話してから「絶対バレてるわよ、親子だって」と、母の顔を知っているその美容室の店長さんに兄と私が母の子どもである事を知られているというのである。なんかヤじゃん、そんなの、と思いつつ「でも私はその人の事知らなかったし、バレる訳がない」と反論したら「顔見たら分かるわよ、同じような顔してるんだから」とますますイヤなことを言われた。こういう時、血っていやなものだな。