温度差にとまどう

海外旅行好きな人に出会うと、どこの街がよかったかなどの情報交換をしたりすることがあるのだが、次にどこに行きたいかという話になると、人がどこどこに行きたいと具体名を出しているにも関わらず「そこは面白くないからこちらのほうがオススメよ」とか言ってくる人がいるので大分大きなお世話である。行きたいって言ってんだから、勝手に行かせて帰って来たときにがっかりしてたら共感してくれればよいのだ。どうせ教えてくれるのなら主観的な面白くなさ加減じゃなくて危険情報とかその程度にしていただきたい。
そもそも海外旅行好きというと精力的に方々を回る人が多く、短期間にいくつもの都市を巡っていたりするので、その時点でだいたい話が合わないのである。私は海外に行ってもただだらだらしていたいだけだからあんまり頑張る気はない。だらだらするだけなら日本でもできるという声が聞えてきそうだが、これが大違いなのである。日本で働きもせずだらだらしてたら「仕事を探すべきだろうか」とか「昼間に家にいる事が大家にばれたらどうなるだろう」などと色々気掛かりがあるが、海外においては「旅行中である」という言い訳の元、後ろめたさを感じることもなく正々堂々とだらだらしていられるのである。だから「どこどこのオペラハウスは素敵だったわ」とか「オペラを観るのならここがいいわ」とか言われると、私自身だってオペラを観る習慣はあるのにこの違いは何なのだろう、と温度差にしばし戸惑う。
と、ここまで書いたところで先だってのとあるできごとを思い出した。職場にイタリア滞在経験のある人がいるというので少し話してみたところ、私みたいに何の目的もなくただ数ヵ月滞在していたのと違って、エトルリアの研究で滞在していたのだという。滞在期間も数度に渡っているため、トータルするとどれくらい長いのか分かんなくなった。で、その人のレベルに見合ったイタリアの都市情報を持たない私は思わず矛先を逸らすため「イタリアは3ヵ月だけだったけど、去年から今年にかけてマルタに2ヵ月滞在していた」と言うと、マルタの巨石文明に興味がある、と言われた。巨石文明ね。たしかに渡航前にはややわくわくして見たいと欲していたけれどね。知識のない人間がただ遺跡を見てもなにがなんだか分からんので次第にどうでもよくなったのだよな。そこで思わず「短い滞在なら楽しいですけど、長くいると飽きますよ」と言ってしまった。「マルタに興味がある」という人に対するこの発言。私が大きなお世話であった。その人には大変失礼なことをしたなぁ、とやや反省したのだが、後日その人が自分の出身大学が早稲田だと言っていたときに私が「早稲田なんですか」と言い、続けて早稲田出身には面白い知り合いが多いですよ、と続けようとしていたにも関わらず、私のその言葉を待たずして「いやぁ、早稲田なんてスーフリ大学ですよ」と言われてしまい、これではまるで私が「早稲田なんですか、すご〜い!」と言ったみたいではないか、とやや不愉快だった一件があるので、まあ痛み分けと言えよう。謙遜するくらいなら黙ってりゃいいじゃんなぁ、大学名。上の方に書いた、旅行先についていらないアドバイスをくれた人も、数度に渡って私の出身大学を探ろうとしてきたことがあったぞ。素直に聞いてくれれば教えるのに、なんで私自ら大学名を言うように仕向けようとするのだろう*1。いい加減、いい年してたかが出身大学名ごときで謙遜したり有り難がったりするのはやめようよ。

*1:ちなみに探ろうとしてた人自身は「三田の方にある大学」だそうで。お茶大みたいな弱小大学と違って、早慶だと有り難がる人がいるということだろうか。だからこういう人達がいるのだろうか。いるといっても、まあごく一部だろうけど。