自信をくれる人

職場に非常によく笑う人がいるのだが、単純に何にでも笑っているというよりは、些細な事でも人の何十倍もおかしみを感じ取ってしまう人らしく、心の底から大爆笑しているようである。この人と喋るとねぇ、なんだか幸せになってくるんだよ。本当にしょうもないことを言ってもすぐ大爆笑でしょ? 引きつけ起こして死んじゃうんじゃないかと言うくらいの勢いで笑うんだよ。とてつもなく自分がユーモアにあふれた人間になった錯覚を覚える。え、なに? めちゃくちゃうけてんじゃん、オレってそんなにおもしろい? まいったな(頭かきつつ照れ笑い)、みたいな感じである。あぁ、あの人は素晴らしい。毎日でも話をしたい。さっきなんかこんな風。今日の残業時間に缶コーヒーを買おうと自販機のある場所に行くと、その人も同じ自販機の近くにいたので適当に雑談しつつ千円札を投入して缶コーヒーを購入。おつりが900円のところ、やたらと自販機からチャラチャラ音がしているのでその人が「随分おつりがでてますね」と。あ、ほんとだー、とかなんとか言いながらおつりを確認すると全部百円玉である。「なにコレ! 全部百円玉じゃん!!」と叫んだら爆笑。ついつられて調子にのって、冷静になると自己嫌悪におちりそうなこと(=「やだー、もう、お財布重くなっちゃうじゃ〜ん、お箸より重い物持った事ないのにぃ〜」)を言ったら大爆笑。改めてこうして書いてみると何もおもしろくない。なのに大爆笑されたのである。私の人生において過去最高のギャグをはなったかのような受け具合。ギャグなんか言った事ないけど。ひょっとして私は自分で思っているよりも、もっとずっとかなりおもしろい人間なんじゃないか、こんなところでちまちま校正なんかしてないでさっさとテレビにでも出て芸人に鞍替えでもしたらいいんじゃないか、そう思ったね。ああ、あの人は本当に素晴らしい。あの人は私に自信をくれる。つまんなくなんかないよ、ちゃんとおもしろいよ、そう言われている気分である。でも席が離れていてよかった。近くの席だったらもっと受けようと必死になって、最後は疲れきって厭世的になってしまいそうだ。明日も仕事に飽きたら彼に笑われに行こうと思います。適度の距離感が重要。