年寄り扱いされたい

今日はぼーっと考え事していて何かいいことを考えついたのだが、それが何だったのか今となっては忘却の彼方である。あ、思い出した。人が疎外を感じる場合、なぜそれを感じてしまうのか、疎外の原因はなんなのかについて考えを巡らして、まあまあのところまで思考がすすんだのであった。でもその話はもういいのである。改めて書き出すと時間かかりそうで面倒くさいから。それよりも今はイーグルサムの話である。
大昔の出来事で、その当時は誰もが知っていた出来事で日常的には滅多に思い起こさないことを出し抜けに言葉に出すと何故か人は往々にして笑ってしまうもので、例えば今日、職場で私が隣の席の少し年上の人と昆虫を食べる文化について話していた折りに、「東南アジアのどこかの国には白いごはんの上に蟻をふんだんにかけて食べていた。昔テレビでひょうきん由美がリポートしてたのを見た」と『ひょうきん由美』という語を口にすると、その話相手は半ば驚くようにしつつもゲラゲラと笑っていた。調子に乗って「昔ジャニーズに忍者っていたよね」とか「コスモ星丸」とか「オリンピックといえばイーグルサムでしょ」とか言っていたら、近くの席の若い女子が「記憶に残っている一番古いオリンピックはバルセロナ」と言ったのだ!
バ、バルセロナだと? そんなの全然最近のことではないか。なめてもらっちゃあ困る。私は当時もう高校生だったぞ。そうかー、バルセロナが記憶のギリギリにあるオリンピックであるなどという世代と肩を並べて働いていたか。予期せぬジェネレーションギャップに完敗。心の準備ができていませんでした。せめてソウルと言ってほしかった。
あんまり吃驚したので同じ歳の校正のところに行って「ちょっと聞いてよー。○○さんって一番記憶に古いオリンピックがバルセロナなんだって」と心の軽傷に理解を示してもらおうとしたら、「え? 私もバルセロナだよ」と。…おい、そんなわきゃあないだろう。どんだけ昔の記憶がなくなっちゃってるんだ。高校以前の記憶がないのか、高校以前の。心の傷をなめ合おうと思ったのに帰って傷口を広げる羽目になってしまったではないか。
しかしこういうジェネレーションギャップっておもしろいね。吃驚だとか心に軽傷だとかいいつつも、やや自虐的な喜びを覚える。なんでかね。若い人にもっと年寄り扱いされたい。