着物づくし

今滞在させてもらっている家の大家さんに誘われて、日本クラブでの着物のエキシビジョンに行ってきた。京都の着物作家さんの作品が展示してあり、日本クラブ内のレストランによる料理が立食形式で出されるのでタダ飯が食えるという話。スカイプでうちのやつと会話していた折に「ろくなもんを食べてない。辛い」とか言っていたのを聞かれたのかもしれない。会場で遠慮がちに立っていたら大家さんに「どんどん食べていいのよ」とうながされた。誘われた時もエキシビジョンの内容には殆ど触れてなかったのに、ただ「料理が食べられる」とだけは強調されたからな。哀れみ? あーそーかもね。でも構わんもんね。バクバク食べましたとも。ホラ、誰かが積極的に食べないと、大抵ああいう場で出される料理って余っちゃうじゃない? ゴミになったらもったいないし。
事前にしらされていたのは地歌舞が見られるという話で、私は一応食事よりもこちらを楽しみにしてきたのだけれど、思いがけずに楽しかったのは会場内の客のうち希望者を募って行った着物着付けショー。その場で着物を着つけてくれんの。だいたい日本人は遠慮してアメリカ人の希望者に着つけてあげていたのだけれど、衝撃的だったのはチャーミングに着物を着こなしていたスパニッシュのお嬢さんが実は元男性だったことお。言われなかったら絶対わかんなかった。だって大分かわいかったし。他の皆さんも着付けをした人の着物を選ぶセンスがよかったのか、私が思っていたよりはずっと着物が似合っていて、何人かのアメリカ人男性に出し抜けに話しかけられた折に「皆さん着物がよく似合ってますね」と、よくしらない人との会話にうってつけの話題として取り上げたら、このアメリカ人男性が揃いも揃って「そうは思わないけど。白人は脚が長過ぎるから似合わない。着物は日本人に限る」と、せっかく喜んで着物を着ている白人女性に水をさすような内容であり、かつ事実とは言え日本人が相対的に短足であることを指摘された。最後の「着物は日本人に限る」ってのだって、褒めている様だけど単に自分が日本人女性が好みだってだけの話じゃないんすか?
ともあれ、こんなにも大勢の外国人女性(自分が今いる場所を考えたら私の方が「外国人女性」なのだが)が着物を着て喜んでいるところは初めて見たのでとても面白かった。ああ、やっぱり現地にすんでいる人んちに滞在するのはいいね。一人旅で自由がきくとはいえ、ホテル滞在だったらこんなイベントがあるなんて知るチャンスはあまりないよ。ホテルに泊まるより断然安いし。非常に快適だ。ニューヨーク滞在3日目にして大分慣れてきたのか、ニューヨークが好きになってきた。楽しいなぁ、国外逃亡生活。