ミシシッピ泥ケーキ

ニューヨーク郊外にアウトレットがあるのは知っていたが、あんまり興味ないし、と行く気はまるでなかったにも関わらず本日行ってきてしまったのは、ひとえにすることがなくなってきたからである。安い、安いとは聞いていたが、ほんとに安いね。とくにアメリカブランド。ここ数年、いつのまにやら日々デニムしか履かない人間になってしまった私であるが、AGのデニム、29ドル。意味分からん、この安さ。ユニクロより安いじゃん。しかし問題が。試着した時に、そういや丈詰めってどうなってるんだろ、と思い店員さんに「丈が長いんですけど」と言ってみたら、無残にも「短い丈のはないよ」と言い放たれて会話終了。心の中で「ああそうですか」と答え、「どうもすみませんねぇ、脚の短い人種で」と卑屈になってみたりもしたのだけれど、冷静に考えると身長に対する脚の割合が大きくとも、身長が低けりゃ丈詰め必要じゃん。要するに丈詰めのサービスをやってないのだね、アウトレットでは。29ドルと意味不明なまでに格安ではあったけれど、日本に持って帰ってから丈詰めをする手間を考えたら面倒臭くなって結局購入は見合わせた。今調べてみたらアメリカでは買った店でお直しをするのは一般的ではないらしい。面倒臭いねぇ。日本に住んでて良かった。
マンハッタンに戻ってから今度は9th avenueのフードフェスティバルに行ってきた。年に一度のイベントで、数キロに渡って道路を車両通行止めにしていろんな食べ物のの屋台がでていた。こういうのってふらふら歩きながら見ている分には楽しいのだけれど、せっかく沢山屋台がでてるのに食べたくなるような美味しそうなものって殆どないんだよな、ニューヨークでは。なにか食べられるものはないか、と思いつつ歩いていたらパイやらブラウニーの店があり、連日のチーズケーキ責めでこちらで美味しい菓子を食べることは断念したはずなのにうっかりチョコレートケーキを購入してしまった。クソ甘い。チョコレートケーキと言うとマルタにいた頃、一軒美味しいチョコレートケーキの店があって、見た目はニューヨークにもよくあるような感じだったので、今日見つけたケーキもひょっとしたら美味しいのでは、と思ってしまったのである。間違いだったけど。ケーキの名前を見てみたら「ミシシッピマッドケーキ」。ミシシッピ泥ケーキか。確かに表面は汚泥のようである。汚泥のようではあるけれど、このネーミングセンスはいかがなものか。日本で泥ケーキって名前で売っても売れないと思う。もうちょっと、いや大分甘さを控えめにしたら美味しくなるとは思うんだけれど、泥はねえべ。おかげで胃袋も精神も疲弊して塩気を求め、しかし肉肉しいものは食べたくなかったのでタイ料理の屋台でレッドカレーを購入。ああ、アジアの料理は素晴らしい。タイの人々よ、ニューヨークにいてくれてありがとう。おかげで救われました。