謎の光景

ストーンウォール

日ごろ日本では殆どひきこもりみたいな生活しているくせに精力的に出歩いているものだから疲労困憊。今朝は10時頃に一度起きたもののもう一度寝なおして、結局起きたのは14時であった。寝過ぎ。こっちに来てからというものの、ずっと風邪を引きっぱなしなのでちょっと疲れるとすぐ調子が悪くなってしまう。しかしこちらでの生活もあと僅かなので無理してでかけてきた。
去年のフィガロのニューヨーク特集に載っていたレストランのショートケーキが異様に美味しそうであったので、どうしても食べてみたかったのだ。チーズケーキであれだけ散々な目にあったくせにまだ懲りてない。これまで何度も写真に騙されてきたというのに。実際ガイドブックを作っていた頃の経験から、あの手の物に「美味しい」と書いてあっても大体適当だというのはよく分かってるのに。でも、ひょっとしたら美味しいかもしれない、という想いが私を駆り立てるのです。食に対するこの貪欲さよ。で、行ったらさー、もうショートケーキ、メニューからなくなってんの。来た意味ねぇ。仕方ないから代わりにサンドイッチを注文したら、出てきたのは見た目ハンバーガー。中身はフィッシュ・アンド・チップスのフィッシュみたいなの。結構美味しいじゃん、と思ったのも束の間、またしてもボリュームと油に胃袋がやられた。あれかね、ここの国の人達はカロリーを可能な限り高くしないと気が済まないのかね。魚の衣の油が凄いのは無論のこと、挟んでいるパンがね。普通のバンズだったらいいんだけれど何故かブリオッシュ生地。一口二口ならよいのだけれどね、だんだんくどくなる。付け合わせの酢漬けたまねぎは美味しかった。
その後クリストファー・パークへ。ここにはゲイ人権運動発端の地を記念する彫刻があり、その彫刻の後ろには事の経緯が書かれた案内板(最初の4分の1を読んだ時点で挫折)もあったのだが、この彫刻よりももっと気になることが。ベンチに座った黒人男性が、自分の目の前に立つ警官4人にめちゃくちゃ怒ってんの。こっちの警察は怖いという話を結構耳にしていたので吃驚。怒られてる警官たちも苦笑しつつちゃんと話聞いてるのね。私は私で「写真なんか撮ってんじゃねぇ!」とか言われて逮捕されちゃうかも、とびくびくしながら彫刻の写真を撮っていたのだけれど、とりあえずお咎めなしで安心。しかしあの警官たち、なんで大人しかったんだろう。こっちでは公園で酒を飲んでたら逮捕とか、赤ら顔で街を歩いてたら逮捕とか、とにかくちょっとでも警官に逆らうとすぐ逮捕とか、その割に警察もハーレムの事は怖がってて通報があっても駆け付けないとか、そんな話ばかり聞いてたのに。
しばらく無関心を装いつつも様子を探っていたのだけれど、なかなか進展しなさそうだったので気になりつつもその場を去ったのだが、あのあとどうなったんだろうね。あの怒れる男性は逮捕されたのであろうか。この公園、然程広くなくて割とせまい範囲にベンチが幾つか置かれていたのだけれど、すぐ目の前で上記のやり取りが行われているというのに、他のベンチに座っている人はごくごく自然に本読んだりお喋りしたりしていて、彼らの様子を気にしているのは公園の入り口から中を覗き見ている観光客だけだった(警官の数と怒れる男性にびびって公園に入れなかったらしい)。わりとよくある事なのであろうか。謎。