ベンメリア

今日はシェムリアップから車で1時間半くらいのところにあるベンメリアという遺跡に行ってきた。アニメの「ラピュタ」のモデルになったところらしい。これが大分面白かった。遺跡と言ってもアンコールワットなどは修復されているけれど、ここは全く修復されていないらしく外国人に開放されたのも2001年と、わりと最近だったらしい。地雷の撤去も他の有名な遺跡ほどではないので、うっかり変なところに足を踏み入れると危険。
で、実際入ってみたらほんとに大部分が崩れてんの。元の形をとどめている部分の合間に、崩れた石が山積みになっており、ガイド氏が「中に入りますか?」というので付いて行ったら「ここほんとに通行可能箇所か!?」と仰天する程の崩壊具合。まず第一に入り口と、その手前にある木製の通路の間は完全に離れていて、ジャンプしないと入り口に着地できない造りになっており、でもって周囲は瓦礫の山なのでうっかり足をすべらせて頭でも打ったら絶命は免れられない予感である。入り口を入ると苔むした石が山積みで、それら崩れた石をよじ登るようにして上がってゆくと、そこには板をはってちょっと小休止できるスペースがあったりしたので、やはり私が通ってきた経路は進入可能箇所であったわけだけれど、日本だったら進入禁止なんじゃないかね。
で、その崩れて苔むした石たちに根をはってガジュマルの樹が生えており、根っこと石の絡まり具合が確かにラピュタ的な感じである。ちなみにここの遺跡、アンコールワットよりも古く、もとはヒンドゥー寺院だったそうだ。現在カンボジアもタイも雨季なので、これまで日中はほぼ曇りで時折スコールになったりしていたのであるけれど、本日はやや困惑気味に「ちょっと光弱めて貰えませんかね」とお願いしたくなるほどの快晴。木漏れ日がいやに美しかった。観光客がシェムリアップの他の遺跡よりも圧倒的に少ないのもよかった。
ここはこれから修復されるそうなのだけれど(いつ修復が始まるのかはよくわからんが)、他のツアー参加者は皆、口を揃えて「修復しちゃったらもったいない」「このままの方がきれい」と言っており、気持ちはよく分かるのだが、アンコールワットも以前はここと同じくらい崩れていたということを聞くと、修復されたらされたでそれなりに楽しめるのであろうと思う。とりあえず私は修復前の状態を見ることができたので、修復されたらされたで別に構わん。好きなようにしてくれ。ちなみにうちのやつは数年前にアンコールワットに来ているのだが、さきほど確認したらベンメリアには来てないそうなので非常に満足。帰ったら自慢気に話したりして、さぞ鬱陶しがられることであろう。
午後は自由行動だったので、シェムリアップのマーケットに行こうと思っていたのだが腹痛で断念。別に食べ物に当たったわけではありません。原因が分かってる腹痛なので何の懸念も無いが、市内を歩けなかったのはやや残念ではある。ホテルで一人、休んでいたら、ケーブルテレビが引かれているらしく各国の放送があり、驚いたのは私がイタリアに長期滞在していた折によく見ていた料理番組「La Prova del Cuoco」をやっていたこと。おー!!と叫びながら見入ってしまった。そしてイタリア料理の美味しいこと! うちのやつがカンボジアに来た折には、同行者がカンボジア料理の不味さに涙したと聞いており、実際食してみると泣くほどではないものの確かにさほど美味しくはない。タイ料理みたいに辛いわけではなく、なんとなくピンぼけした味というか、油が強いというか。そんな状況で目にも麗しいイタリア料理を目の当たりにするなんて。あー、イタリア料理が食べたい。本物のイタリア料理が食べたい。いままでそこそこ海外旅行をしてきたが、イタリアが一番食べ物が美味しかった。まだまだ暫くパクチー漬けの日々が続くのか…。若干憂鬱である。