ヤンの家

で、プラハ城方面に向かったわけだがプラハ城に行くわけではない。どこに行くかってヤンの家だ。ヤン・シュヴァンクマイエルのアトリエで時々ご本人も出没するらしい。そこに向かってずんずん坂道を上がっていくと、上がれば上がるほど観光客が減っていき、のどかなただの街並みになっていった。私はこういう雰囲気の方が好きだ。プラハフィレンツェほど酷くはないけれど、やっぱり観光客の街だ。観光客が訪れるメインの場所は大抵、彼らが望むような街並みになっているのだ。なんかね、自然じゃないの。人が生活してる感じがしないの。譬えるならば倉敷の美観地区。テレビで見ていたときはなんて綺麗なんだと思っていたが、実際に見たら作り物っぽくて興ざめした。それよりも1本か2本外れた路地の方がよっぽどか本物で風情がありましたよ。
ということで嘘臭さを感じさせない本物の街並みを満足げに歩いたわけだが、たどり着いたヤンの家はまだ閉まっていた。開くのは12時。現在11時。このままここに佇んでいたら確実に足が壊死する。とはいえ元来た道を引き返すのは業腹なのでそのまま通り抜けると現地人すらいないところに出てしまった。一応車は走っているけれど、人影ゼロ。カフェなんかあるわけがない。適当に方向を定めて暫し歩くとプラハ城近くまで出て、そこのカフェで一休み。足生き返りましたよ。今日気づいたのだけれどチェコフィレンツェよりも物価安いのにカフェラッテは約240円。フィレンツェより断然高い。何でだよ。私が観光客用の店に入ってるのがいけないのか。
そろそろ戻ろうかと思ったが、やはり同じ道を戻るのはいまいましいので今度はトラムを使うことに。要するに路面電車なのだが、これが良い。今まで移動は全部地下鉄だったから街を見ながらの移動は初めてだ。地下鉄は便利だけどトラムの方が楽しいですよ。で再びヤンの家。ここのおばちゃんは愛想がないと聞いていたので、挨拶したときに返された笑顔にちょっと心が弾んだ。ここは正式にはシュルレアリスト・ギャラリーなのでヤン以外の人の作品も多数。絵が飾られていたり、ヤンの奥さんのエヴァの作品が飾られていたり。恐る恐る写真を撮ったが何も言われなかったので、それ以降はおおっぴらに撮影。それからヤンの本等を買った。ビデオもあったけど、日本じゃ見られないからねぇ。そんな感じで割とあっけなくヤンの家終了。