「売られた花嫁」鑑賞す

夜にオペラを控えていたので午後はお茶をしたりしてのんびりとすごした。入り口に筆で「茶」と書かれたお店があって、世界の様々なお茶を取り揃えているらしいので入店。プーアール茶とケーキを頂く。納得がいかなかったのはメニューに書かれた“chinese SEN-CHA”の文字。チャイニーズって…、煎茶って言ってる時点で明らかに日本のものなのに。
そんな事はどうでも良いのだがスメタナのオペラである。オペラは好きだがスメタナのものは一度たりとも聴いたことがなく、当然ながらストーリーも知らない。とはいえ大抵のオペラの筋書きは非常に単純明快でばかばかしいくらいのものなので意にも介していなかったのだが、全く内容が分からなかったらつまらない。しかしありがたいことにここは英語字幕とドイツ語字幕が出たのだ。ドイツ語なんかあっても私は皆目わからんが。でも英語字幕は大変助かりました。で、やっぱり筋書きは非常に単純な筋書きでございましたよ。
オペラ歌手もどの人みてもそこそこ上手いのだが感激するほどの力量の人はいなかった。しかし今日のオペラの素晴らしいところはそこではない。演出だ。演出がすばらしい。良い意味でふざけた演出で非常にユーモラスである。意味もなくダンサーが登場してちょこちょこと踊っていたり、ビール飲むシーンでは千鳥足ダンスなども疲労していた。女性ダンサーもピルエットやりすぎて目がまわったりしてんの、勿論それも演出だけどね。冒頭のシーンで10歳児くらいの男の子と女の子が婚礼の衣装を着て登場してかわいらしかったのだが、その男の子の方が野太いテノールで歌いだしたときも度肝を抜かれた。要するに裏で主役が歌っているのを身振り手振りでその男の子が歌っている風に装っていただけだけど。華奢な身体でボーイソプラノくらいを期待していた私としては仰天ですよ、その野太さに。こういう演出はなかなか日本ではお目にかかれないので非常によろしいです。
あとはですね、このオペラは勿論チェコ語のオペラなのだが、それゆえ名詞が格変化するのである。格変化というのはその名詞が主語として使われる場合、間接目的語、直接目的語として使われる場合などなど、状況に応じて語尾が変化することである。面白いのは呼格で、人に呼びかけるときの変化の形なのだが、例えば「山田」に呼びかけるとすると「やまど!」になってしまうのだ。そんな感じでヒロインの「マジェンカ」も「マジェンク」「マジェンコ!」などとなっていて、単純に響きが日本人である私には面白かった。
ホールは美しいし演出は面白いしで大満足でございました。次回、日曜日のヤナーチェクも非常に楽しみである。欧州で観るオペラはいいねぇ、チケット安くって。これを経験してしまうとなかなか日本で観る気がしなくなってしまいますよ。ではもう眠いので寝ます。おやすみなさい。