マダム扱いに上機嫌

ruské hodiny

あ〜幸せだ幸せだ。私はなんて幸せなんだろう。本当に幸せだ。もう贅沢大好き。贅沢するために生まれてきたんだ、きっと。断っておくがここでいう贅沢とは無駄に金を使いまくることではない、精神の充実に主眼が置かれている。その点で今日は最高だった。まず昼はオペラ、そして夜は高級レストランでディナー。平均月収が2万コルナ(だいたい10万円弱でしょうか)のこの国で、一回の食事に2千コルナ以上かけるのは相当なことだと思う。日本でディナーすることを考えたら大したもんではないけど。
何が贅沢って、最高のサービスを受けることだ。本物のサービスを受けたときに人はサービス料の存在価値を認識するに違いない。今日のディナーは、料理の質から言ったら別段どうって事ないというか、普通なので同じ値段ならシュマンで食べた方が断然美味しいのだが、価値はその点にあるのではない。ここの内装を見た時点で既に、食事に来て良かった、そうしみじみと思ってしまうほど凄まじい内装である。なんてったってアール・ヌーヴォ、めちゃめちゃでかいミュシャの絵が壁面に描いてあるんだぞ。こんなの日本にないだろう。頑張って同じものを作れたとしても日本にあると言うだけでニセモノだ。日本でこの規模のことをやられても逆に引く。欧州にあるからこそ良いのですよ。
そしてもうサービスがいい。マダム扱いされて上機嫌である。どこで見張ってるんだが分からないが、私が食べ終わると丁度いいタイミングでさりげなく無駄のない動作で皿を下げていくのだ。ただそういった一つ一つのアクションが素晴らしいというよりは、客に接する時の態度だな、素晴らしいのは。20代後半といっても私はまだチェコ人たちの目にはきっと子どもみたいに映っているに違いないのに、ちゃんと一人前の大人の女性として扱ってくれるのだよ。非常に気分が良い。
食べたものはというとアミューズがちょこっと出た後に鴨のパテとロースト。メインはチェコ料理なのだがローストビーフのクリームソースとクネドリーキ。デザートが出た後に紅茶を頂いた。先にも書いたが普通の味。しかし鴨のローストだけは旨かった。私が如何に鴨好きであったか思い知らされた。鴨大好きだ。何でこんなに美味しいのだろう、鴨。ソースが苺だったのでできればオレンジ、あるいはラズベリーにして欲しかったがそこは堪えよう。兎に角鴨だ。クレイジー・フォー・鴨。最高っす。ちなみにお酒はあんまり飲みませんでした。アペリティフシャンパンはいかが?とローランペリエとテタンジェ持ってこられたのでテタンジェを一杯だけ。たまにはテタンジェも悪くないね。なんであんまり飲まなかったかって言うと、ここに来る前に路上でホット・ワイン一気飲みしてきてたから。その姿はあたかもトルストイ民話集などに出てくる働かない親父のようである。これがウォトカなら完璧であっただろう。