ノリエット

エピファニーである。日本語に訳すと公現節。十二夜。東方三賢人がキリストの生誕を祝いに行った日が、この1月6日。本来ガレット・デ・ロワというのはこの日に食べることになっているのだが、東方三賢人がキリストに「おめでとう」と言ったことと、このアーモンドクリームがたっぷり詰まったパイとの間にどのような関係があるのか私は知らない。とにかくこの日に食べることになっている、という点が重要なのである。
というわけで東京の西の果てからえっちらおっちらガレット買いにノリエットまで行ってきた。地図上では下高井戸の本店が一番近く、交通の便で言えば新宿タカシマヤB1の支店の方が便利なのであるが、あえて池袋のノリエットまで行ってきた。なんでかって、馴染みのかわいいお兄さんに「やっぱガレットは6日に食べなきゃね!」と単に食い意地がはっているだけでなく知識に裏付けられたケーキ狂いであることをアピールするためである。お兄さんいなかったけど。よって池袋まで行く意味なかったんだけど。そして池袋まで行ってしまったために東武のヴィヴィアン・タムにまで立ち寄ってしまい、ついついデニム買っちゃって懐具合のわびしさに拍車をかけてしまったんだけど。だってタムがいけないんだよ!デニムなのに半額になってるんだもん。普通デニムなんかそうそう安くなんないじゃん、いくらセールって言ったって。だから私は悪くないのである。これまでもシリにドラゴンの刺繍の入ったデニムを数本購入しているが、今日は左の太ももにグワ〜ッとドラゴンの模様が入っているものを購入した。なぜそうもドラゴンばかり好むのか人に訊ねられた際には「辰年だから」と答えるようにしているのだけれど、未だかつてその質問を私に投げかけたものはいない。
ノリエットのガレットですが、いや〜、幸せな味でした。クレームダマンドは主張しすぎず香りも穏やかで、パイは私好みのしっかりどっしり焼き付けているタイプ。上質なバターを使っているのでしょう、パイ生地からミルクのような優しさが感じられる素敵な味。本当に美味しかったなぁ。あんまり重くなくてあっという間に食べきりましたよ。伊勢丹エヴァンでもパイ生地がチョコレート色したガレットを作っていることを知ったけど、もうこれ食べられたら別にエヴァンのは食べなくてもいいや。ちなみにフェーヴはピンク色した、一見リスなんだけど豚面している謎の壷でした。料理王国か何かを立ち読みしたときには「今年のフェーヴはクラシックカーのシリーズ」とか何とか書かれていたのを記憶しているが、とても車には見えない。というかピンク色している時点で現実に存在する動物にすら見えない。なんなんですかね、アレ。私のフェーヴコレクター歴も今年で6年目になるけれど、こんな謎の感じなのはこれが初めてかも。レアな感もあるけれど、あんまり得した気分にならないのは謎の生物(というか壷)の顔が豚面だったからでしょうか。あとでゆっくりこれまで集めてきた物どもと比較してみたいと思います。